水土舎について
私たちは、『食』と『環境』をテーマとしたコンサルティングとその周辺業務を企業活動として展開しています。
『食』の根幹をなす農林水産業は、『環境』が健全に維持されて初めて成り立つ産業です。戦後、我が国は豊かな経済発展をとげてきましたが、開発による自然環境のゆがみが社会課題となりました。さらに近年は、人間活動にも起因する地球規模の環境変化が顕在化しています。
また、農林水産業は、産業を担う『人』や『地域社会』にも支えられてきました。しかし、我が国は人口減少局面に差し掛かり、産業の担い手や地域社会の維持の面でも困難に直面しています。
今、私たちの命の根幹である『食』をめぐる環境全体が、大きな転換期に差し掛かっているのです。顕在化している自然環境や社会・経済情勢の様々な変化が、『食』を支える基盤を脆弱化させていることは否めません。
弊社は、食の生産と環境保全は表裏一体との考えの下、食と環境を表す『水』と『土』を社名に据え、国土の均衡ある発展と社会に貢献することを目指して企業活動を展開してまいりました。
『水土舎』が生まれて30余年。
私たちは、直面する新たな社会課題に対し、ともに考え、行動し、解決の一助となることを目指していきます。未来に向けて、水土に根ざした持続的な経済の発展と地域の活性化を図ることを第一義に、これからも変わらず活動していく所存です。
これからも日本の漁業と海を守ることを
使命に企業活動を続けていきます
弊社は、平成2年の設立以来、「食と環境」をテーマに調査・研究・コンサルタント活動を展開し、令和2年には30周年を迎え、今日に至っています。この間、『食』の根幹をなす農林水産業、とりわけ『水産業』に特化した活動を展開してきました。
漁業は、海の生態系を構成する生物を採取する産業であり、生態系サービスを享受する産業です。養殖業も同様です。魚類養殖は種苗や餌飼料を天然資源に依存していますし、カキやホタテガイなどの二枚貝類、ワカメやノリなどの海藻類も、海の餌料プランクトンや栄養塩類を利用し、自然環境に大きく依存しています。自然との共生によって成り立つ漁業・養殖業には、海の生態系が多様性に富み生態系を支える環境が健全であることが不可欠です。
水産資源の多くは、その生活史の中に沿岸域で過ごす期間があります。藻場や干潟といった沿岸域の環境が健全に保たれていることが、水産資源の保全に極めて重要な意味を持ちます。沿岸域は人の活動に大きな影響を受けますが、漁業者の生業を通じて特徴的な生態系が保全されてきました。漁業者を中心とした地域住民は、地先の沿岸域を「里海」として持続的に利用するとともに、水産資源の「ゆりかご」としての機能を保全してきたのです。その効能は、豊かな『食』として国民全体に波及しています。
しかし、漁業は自然に依存することを宿命としていることから経営は極めて不安定ですし、沿岸域の様々な環境改変や圧力によって漁業の存立基盤は揺らいでいます。漁業者の減少、高齢化の進行によって、これまで培ってきたわが国の伝統的な海洋利用は存亡の危機に瀕していると言っても過言ではありません。
私たちは、これからも日本の漁業と海を守ることを使命に企業活動を続けていきます。日本の漁業を守らなければなりません。日本の漁業を守ることは国民に対する水産物の安定供給を保証し、漁業・漁村の有する多面的機能の維持によって豊かな海を後世に伝えていくために極めて重要だからです。今後とも、より一層のご指導ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。
株式会社水土舎 代表取締役 麓 貴光